お知らせ・コラム

訪問看護の現場から

2018年6月11日  カテゴリー : ニュースレター 活用例

「ヒーリングを看護現場で普及する方法として、訪問看護を選んだ」と語る、国際ヒーリング看護協会の中ルミさん。認定ヒーリングタッチ・プラクティショナーでもある中さんは、ルミナス訪問看護・ケアステーションの活動に、ヒーリングタッチを取り入れています。利用者さんの承諾を経て、ある日の訪問看護に同行させていただきました。

肉体的だけでない、
精神的な癒しを求めて

その日、中さんが訪問したのは、Aさんのお宅。もともとは、ご病気の奥さまの看護に訪問看護を利用していたのですが、ケアマネージャーさんからの勧めがあり、数ヶ月前からご自身も訪問看護をお願いするようになったと言います。

この日、奥さまはデイサービスにいて、不在。Aさんは、奥さまの身体を移動するなど、日頃の看護で凝り固まった首と肩をほぐすためにアロマタッチの施術を定期的に受けています。

既にすっかり打ち解けている中さんは、挨拶を済ませると、さっそくAさんとストレッチを開始。Aさんは、私たち、初対面の同行者にも緊張された様子はなく終始にこやか。「右肩は良くなったんだけど、今度はちょっと左肩が痛いなぁ」などと会話も弾み、看護チームの訪問を楽しまれているように見えました。

ストレッチが終わると、中さんがiPhoneでヒーリングミュージックを流し始め、部屋は癒しの場の雰囲気に。Aさんは服を脱いで介護ベッドの上にうつぶせになり、アロマオイルを使ったトリートメントが始まりました。

ヒーリングタッチを組み合わせるのは、その後。気持ちよさそうな寝息を立てているAさんの頭に、マインドクリアリングというテクニックを、肩や首に、ペインドレイン、ハンズモーションといったテクニックを使用してエネルギー的なケアを行いました。

もちろん、Aさんにはヒーリングタッチを組み合せることはご説明済み。しかし、Aさんはヒーリングに特に詳しいわけではありません。

「ただ、中さんがやってくれるマッサージは、なにか普通のマッサージと違う感じがするんだよねぇ。相性がいいってことかもしれないねぇ」とAさん。「肉体的にもそうなんだけど、それ以外のね、精神的な癒しっていうんですかね。すごくリラックスするんですよ」

エネルギーをケアするヒーリングについては時に説明が難しいこともありますが、「とにかく受けて体感してもらうのが早いですね」と中さん。「体感すると気持ち良さが違うっていうことをわかってもらえます」

Aさんは中さんの施術を「癒しの国に行くみたい」と評したこともあるくらい、いつも深くリラックスされるのだそうです。

ヒーリングタッチの影響?
予想外の変化も

首と肩の痛みに悩まされていたAさんは、以前は、鍼や整体にも通っていました。が、「鍼は痛くて」続かなかったそう。中さんたちの看護を受けるようになって、半年も経っていませんが、首や肩の症状はだいぶ改善されたと言います。

「心の痛みが体に出てきたりしますからね。でも、心につけるお薬はない」と中さん。肉体だけでない部分にアプローチできるヒーリングやアロマテラピーなどの癒しの引き出しを看護師さんがたくさん持つことは、これからさらに求められると考えています。

引き出しは何でもいい、という中さんですが、ヒーリングタッチを選んだのは、アセスメント(評価)の仕方、看護診断などがしっかりと確立されていたため。もともとアメリカの看護師が体系化したものだけに、看護の現場で役立てやすいのでしょう。

Aさんのお宅でも、最後に「痛み」「リラックス感」など4つの項目について、十段階の評価をAさんから聞き出し、記録しました。このような記録を中さんはデータ化し、看護協会で発表したりもしています。

約1時間の訪問看護、その間、Aさんは終始穏やかで、私たちの質問にもしっかりと答えてくださいました。

が、取材後、じつはAさんには、突然感情的になってしまうなど、コミュニケーションが取れないほどのご病気の症状があるらしいことを知り、取材チームはびっくり。

ただ、今回もそうだったように、中さんが看護に訪れる時には、そのような状態になったことはまだ一度もない、とも。ヒーリングタッチを含む中さんの看護への取り組みの効果が、そこにも表れていると考えるのは、身びいきでしょうか。

「心と体とスピリチュアリティ、その組み合わせがきちんとケアできると、みんな本当に輝いていくんですよ。肉体的に癒されて、精神的に癒されて、エネルギー的にも満たされて・・・そうすると、食欲のなかった人が食べるようになり、発言がポジティブになってくる。最後は小さなことで感謝する日々になって、新しい人生がクリエイトされてくるんです。

そうなると私たち看護師も逆に癒されて、とてもよい循環ができます。そういう世界があることを、医療に携わる方、看護師さん、患者さん、皆さんに知ってもらいたいと思います」(中さん)

 

吉田聡子(取材・文・写真)


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