お知らせ・コラム

透析看護とヒーリングタッチ

2018年6月21日  カテゴリー : ニュースレター 活用例

私は現在、長崎市の病院で透析看護をしています。人工透析は慢性腎不全の方が週に3回程度血液を浄化する治療法です。患者さんは3~5時間も治療を受けなければなりません。このような環境でヒーリングタッチを活用することがあります。

 

透析患者さんは、抵抗力・体力・骨などが弱く体に痛みを抱えていたり、倦怠感をいつも抱えていたりしています。痛みがある患者さんには、まずそっと手で痛みの部位に触れます。「あったかい」ただ触れただけで気持ちが和らぎます。そのような時、ヒーリングタッチの話をして、施術を受けてみたいか聞き承諾をもらいます。

 

業務中に施術のためにほんの20分でも時間をとるには、ほかの看護スタッフの協力が必要です。スタッフは看護ケアの一環として受け入れてくれています。患者さんはヒーリングタッチが終わると、「暖かくて気持ちよかった、痛みが和らいだ。不思議ね。体が軽くなったし、温かくなった。」など体の安らぎを得て、心にも穏やかさを取り戻します。患者さんと私の間には今までにない信頼関係が構築されます。

 

患者さんにヒーリングタッチをするということは、単なる緩和技術の提供ではありません。患者さんは施術者の手の温かみから人間的なつながりを感じるのです。不思議と体の苦痛から解放され、安心と安楽を得ます。患者さんは痛み止めも使っていますが、それでもこのヒーリングタッチの恩恵は別のものと認識されています。ヒーリングタッチは、薬では解決できない何かを和らげているのだと思います。

 

高度医療が発展している現代ですが、病院においては患者と看護師という関係性の中に求められているのは人としてのつながりです。治療を受けている患者さんは辛い体験をしており、どこかに安寧を求めています。看護師にはその思いを受け止め、支えていく役割があります。

 

ヒーリングタッチは手を使って簡単にどこでも実践できます。そっと触れること、ただそれだけなのですが、目には見えないエネルギーが流れ癒しがもたらされます。このケアの経験は、看護師としての私自身の成長を助け患者理解を深める機会となりました。ヒーリングタッチをケアとして実践する看護師さんを増やしたいと思っています。

 

文:草村淳子(長崎県長崎市)看護師・CHTP (認定ヒーリングタッチ・プラクティショナー)


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