ニュースレター【会員限定】

ヒーリングプレゼンス vol.13 2021年1月(公開)

2021年1月2日

 

あけましておめでとうございます!

 新しい年を迎えました。心新たに、互いに優しさをもち、助け合い、心穏やかに時を過ごせる一年になることを心より祈っております。

 2021年は、心を落ち着かせて、大切なことに軸を置き、そして、自身のいのち、存在を支えてくれている人々を思いやり、その基盤となっている社会を考え、よりよく生きていきたいと感じています。

昨年の12月に、第3回日本GRACE研究会年次大会がオンラインで開催されました。GRACEとは、対人支援者が「コンパッション」を育むためのプログラムです。大会では、そのプログラムの開発者で禅の指導者であるジョアン・ハリファックス老師が、村上春樹の『海辺のカフカ』より、引用されました。

  「そしてその砂嵐が終わったとき、どうやって自分がそいつをくぐり抜けて生きのびることができたのか、君にはよく理解できないはずだ。  
    いや本当ににそいつが去ってしまったのかどうかも確かじゃないはずだ。でもひとつだけはっきりしていることがある。
   その嵐から出てきた君は、そこに足を踏みいれたときの君じゃないっていうことだ。そう、それが砂嵐というものの意味なんだ」

 私たちは、2020年を潜り抜けて来ました。私たちは、もはや砂嵐に足を踏み入れつつあった一年前の私たちではありません。
 よき2021年にしていきましょう。そして、忘れないでください。「エネルギーは思考に従う」ということを。

 

今こそ「ホリスティックな医療・健康観」の普及を

降矢 英成 赤坂溜池クリニック院長 HTSJ顧問

2020年は、1年前には予想だにしなかった混乱の1年となりました。この「新型コロナ禍」という状況は、いろいろな面で大変ではありますが、私たちにさまざまな「気づき」と「意識の転換」をもたらしてくれたともいえます。

 特に印象に残るものは、流行語大賞になった「3密」もそうですが、「不要不急」と 「自粛」という言葉です。

「不要不急」と「自粛」

 まず、「不要不急」というフレーズが出てきたことにより、2月下旬頃から「自粛」傾向が蔓延する状況になったといえます。

 「不要不急」という語は、“四字熟語”であるため、視覚的に訴える力が強くなりますので、この文字を見ただけで重い感じを受けてしまうといえるでしょう。私は、よく「長い文言はそのまま雰囲気で受け取るだけでなく、“一文字”か“二文字”ずつに分けて認識する」ことを薦めています。この「不要不急」という語は、何となく何もやってはいけないという感じを受けてしまいがちですが、「不要」と「不急」の組み合わせでできていますので、「不要=必要のないこと」と「不急=急ぎではないこと」ということになります。逆にいいますと、「必要のあること」と「急ぎのこと」は「不要不急ではない」という意味になります。

 しかし、実際は、小池都知事が具体的に「食品などの生活用品のお買い物」や「病院への受診」は必要なことです、と「2つの必要なこと」を挙げて説明したのにも関わらず、「スーパーは大混雑」したのに対して「医療機関の受診控え」が生じました。これは、「医療機関には新型コロナ患者が来ているので危ない場所だ」という思いを持ったということでしょうが、「医療機関は感染が生じないように対応する専門の場所だ」ということより、「自分の感情・感覚を優先する」という状態になっていたということだと思います。

 一方、「自粛」とは、辞書によれば、私たちが「自分から進んで、行いや態度を慎むこと」となっており、類義語に「自重」とか「自戒」などがあります。それに対して「ロックダウン」とか「緊急事態宣言」は、刑罰が科されるか否かの違いがあるものの、「他(政府・国家)から強制される状況」ということになります。そして、実際は「自粛」レベルの対処で解決できなかったために、「緊急事態宣言」が発令されることになりました。

 また、「自粛」という「自ら進んで」という言葉であるのにも関わらず、何と「自粛警察」という動きも出てきました。「警察」は、「自ら」ではなく「他(政府・国家)から」の象徴的な存在ですので、組み合わせとしては不適切な言葉であったがために、とてもインパクトがありました…。

「必要なこと」とは「本質的なもの」

 今まで挙げたこと以外にも、いろいろなことが生じましたので、私たちはそこからいろいろな思いをもち、「苦痛」や「問題」も生じた面もありますが、一方では「気づき」や「学び」になったといえます。特に、ここでは、「必要なこととはどういうことか」、もう少しいいますと、「一人ひとりにとって必要なことがあり、それぞれ違いがある」ということを重視したいと思います。このためには、まず日頃は「必要なこと」について、日常にかまけてあまり意識せずに過ごしていたということから始まるのでしょう。

 「新型コロナ禍」になったことで、生活や生き方について、しっかり「考え」、「選択する」必要性が自ずと生じるようになりました。ある意味、そのおかげで、自分にとって「必要なこととは何か」を「考え」、「選択する」機会が生じたといえます。これには、生活のちょっとしたことから仕事の選択などまで、いろいろな層にわたって生じたのではないかと思います。

 私も、具体的には、繁盛していて「密」の状態のお蕎麦屋さんに昼食に行くのは「不要」と判断して、昼食の取り方については「他の選択」を選ぶようにしました。具体的には、昼食をクリニックで摂ることを「選択し」、その結果、昼休みに、クリニックのある赤坂界隈

を散策・ウォーキングする時間が取れることに気づきました。

 「赤坂ウォーキング」を行ってみると、「日に当たり、歩くこと」になり、体力・免疫力のアップになること、さらには、これによって免疫力アップの要素である「ビタミンDの産生」にも繋がりました。そして、それだけではなく、近隣でも初めて歩く場所もあり、かつて勝海舟が赤坂に居住していて、坂本龍馬もときどき訪れていたことことから、街角に「勝海舟邸跡」や「勝海舟・坂本龍馬師弟像」を発見しました。

 つまり、身体に良いことだけではなく、電車に乗って遠出を控える傾向から新しい場所に行く楽しみの機会が減ったことを埋めるような、「知的な刺激」や「発見」を味わうことができました。このことから、「自粛傾向であってもできることはいろいろある」ことを実体験できました。同じく赤坂に居住されている戸田美紀会長もかなり歩き回られているようですが、私は今では、赤坂だけでなく、虎ノ門あたりまでは裏道まで含めて隅々まで分かるようになっています…!

 そして、「こういう時期だからこそ、本質的なことをやりたい」という意識が生じてきまして、自分の理念としている「ホリスティック医学」の充実のためには、いろいろな医療・健康の領域が「それぞれホリスティックに」なった上で、ネットワーク・連携を組む動きを推進したいという思いが強くなりました。

 私は「日本ホリスティック医学協会」という団体に所属していますが、最近では、医療・健康領域に「ホリスティック」を冠する団体が増えてきており、ホリスティックナーシング研究会、国際ホリスティック看護協会、日本ホリスティックニュートリション協会という、看護や栄養の領域には存在し、日本ホリスティックビューティ協会という美容の領域にもできています。ところが、「心理」や「ボディワーク」の領域では、まだホリスティックを冠する公的な動きがありませんので、発足に向けて、坂本龍馬のような水面下の動きをすることを決意しました!(すみません、おおげさですね)

 新型コロナ禍が生じたおかげで、来年の5月9日にはこれらの諸団体から有志で「ホリスティック医学サミット(仮)」を実施できることになりましたことをご報告させていただきます。

 

日本スピリチュアルケア学会沖縄大会報告レポート

伊東 和香子 認定スピリチュアルケア師 ヒーリングタッチ・アドバンスII修了

 日本スピリチュアルケア学会第13回学術大会が、去る11月7日~9日に沖縄にて大会テーマ「生と死とスピリチュアルケア」を掲げて開催されました。すべてのプログラムがオンラインでしたので、移動の節約はできました。しかし、沖縄を訪れる機会を逃したことは、とても残念です。モニターに映る現地会場に登壇の先生方は冷房の会場で半袖姿でしたが、私は東京でホットカーペットに座っての参加(視聴)でした。

 まず、柏木哲夫学会理事長より開会挨拶がありました。その中で、生の力に関して、ホスピスでは「生きる力(身体的)」、うつなどの自殺念慮では「生きていく力(精神的)」、スピリチュアルケアは「生きる力を育むケア(霊的)」であるとの考えをお話しされました。また、スピリチュアルケアには時間と専門的な深みが必要で、それは「時間x深さ」と言えるのではないか。一定時間、相手と寄り添うこともケアであり、また、ただ一言二言の会話でも深みがあればケアになるという事例を話されました。

 基調講演は浜崎盛康(沖縄スピリチュアルケア研究会会長 琉球大学名誉教授)大会長です。「スピリチュアルケアの普遍性と特殊性の両方を意識したいと思います。すべての人間が、生まれ、成長し、時に病み、老い、死を迎える存在である限り、そこには必ず人間としての普遍的なスピリチュアルペインがあり、スピリチュアルケアがあります。しかし、それだけではなく、国や時代、文化、宗教等の違いに応じて、それぞれ異なった特殊性を持ったスピリチュアルペインがあり、スピリチュアルケアが必要となります。」(あいさつ文より)

 学会では数年来、「スピリチュアル」を日本語にした時の統一の定義が確立していません。

 ここで、浜崎先生の説を披露いたします。

スピリチュアル:生きること、存在すること、死ぬこと、消滅すること に関する~
スピリチュアルケア:生、存在、死、消滅 をケア
スピリチュアルペイン:
・生きる意味や目的を失うことから生じる痛み
・死か病の接近により自己存在と意義を失う痛み
・自己と大切な人を失う痛み
・死そのものへの恐怖に由来する痛み 

 では実際、生きる意味を作り出したり、目的を見出すケアの方法はというと、成長と自己実現を助ける、ケアすることで見出せるとしたメイヤロフやフランクルの「創造価値・体験価値・態度価値」という三つの道を示してくださいました。

 二日目の研究発表では、認知症高齢者、ひきこもりの若者やACP(Advance Care Planning)などの地域で出会うスピリチュアルケア、コロナ感染症流行下における時世にあった発表やスピリチュアルケアそのものを深める研究発表などがありました。また、第四部会では映画「久高オデッセイ」をはじめ、沖縄のスピリチュアリティ、戦争で被ったペインとケアの文化を通して、大会テーマである「生と死のスピリチュアリティ」の諸相を語り合いました

 午後のシンポジウムのコーディネーターはカール・ベッカー博士、シンポジストは、越智啓子(精神科医〈魂科医、笑いの天使〉)、須藤義人(沖縄大学・人文学部こども文化学科准教授)、宮城喜久子(神人・ユタ)です。それぞれの自己紹介で、霊的ケアの三側面 (・病に対する・悲嘆に対する・死の恐怖に対するスピリチュアルケア)を話すベッカー先生。過去世の事例と身体の病もヒーリングで治ると話す越智先生。抜霊(ヌジファ)は、亡くなっている霊のケアでもあると語る宮城さん。この場にいるという縁の繋がりに感嘆する須藤先生。

 諸氏に「霊や魂の大切さをどうしたら感じられるのか」という問いかけに、宮城さんは「まごころ」と一言。宮城さんの声は優しく私には彼女の言葉がひらがなで聞こえました。「ぬじふぁ、まぶい、ぐそう」と耳慣れない沖縄言葉混じりのお話しは、実のところ、教えてもらっていた意味をすぐには思い出せず聞き取りにくいものでした。けれど、その言霊が、宮城さんの真の心がまっすぐ伝わるように感じていて、理解を妨げはしませんでした。「大切だからまごころを持って。まごころで向かうから大切」だとお話しになりました。越智先生にはシンポジウム中に神が降りてきていきなり歌われると「誰でも右肩の上に守護天使がいるから、話しかけるといいのよ」と発言されました。これもユニークですが、コロナウィルスに話しかけたエピソードでは、「何が欲しいのか尋ねると『愛』と答えたので、投げキッスをしたらウィルスは昇天してしまった」に対して、現場に立たれている看護師さんから「ふざけた発言だ。学会として訂正はないのか」という厳しい意見も出ました。「ひとつの物語として受けて欲しい」との理事からの返信で時間となってしまいましたが、そのように受け止めると、確かに越智先生のお話は楽しいものです。

  今回のシンポジウムは、いままでにないスピリチュアルな時間であり、愛に溢れていたように感じました。学術的に戻そうとする努力は仕方ないのでしょうが、少し残念に思えました。スピリチュアルケアがホスピスだけではなく日常あらゆる場面で必要だと、本学会で認められてきたのがここ数年のことだと思い返せば、生も死も存在も霊的なものも日常なのだから、見えないものを明らかに話せる日も近いのだろうと思いたいです。
現在、日本スピリチュアルケア学会会員数は約750名で、内、資格者※数300名と割合として資格者より一般会員が多く、スピリチュアルケアへの関心の高くなってきたことがうかがえました。世界的に求められているスピリチュアルケアを、学会が日本中に広め牽引してくれることを祈りつつ報告の結びといたします。

※資格:学会認定の専門スピリチュアルケア師、臨床スピリチュアルケア師があります。

一般社団法人日本スピリチュアルケア学会 http://www.spiritualcare.jp/

 

おすすめ書籍

新約 養生訓  日本人が伝えてきた予防健康法

貝原益軒著 蓮村誠編訳 PHP研究所

山口 祐味 アレクサンダー・テクニーク教師 ヒーリングタッチ・プラクティショナー研修生

『養生訓』は儒学者である貝原益軒が1713年に齢84歳で書いた「人が健康を保ち、幸福で長生きするための指南書」です。この本は臨床医であり、アーユルヴェーダというインドの伝承医学を学んだ訳者が、その『養生訓』を分かりやすく現代語訳し、解説を行ったものです。

 貝原益軒は「人のからだは尊い、養生の道を学びからだを大切にし、長寿であることが幸福の根本である」ことを繰り返し述べています。

 養生の術はまず、自分のからだを損なうものを無くすべきであると言い、2つを挙げています。内欲と外邪です。内欲とは食欲、色欲、睡眠欲、好き勝手に話したいという欲、喜び、怒り、憂い、思い、悲しみ、恐れ、驚きの7つの情の欲のことで、外邪とは、天の四気 – 風・寒・暑・湿のことです。内欲をおさえて少なくし、外邪をおそれて防げば、元気を損なわず、病気にならずに天寿を全うすることができると言っています。ここで言う元気とは、単にからだを養うエネルギーではなく、養生の世界観や生命観を支える具体的な要素であり、元気こそが生命の源であり、それを大切に扱うことが養生の道そのものであると述べています。

 さらに、なぜ内欲と外邪によって元気が損なわれるのかを「気」という要素に触れ、説明しています。「気」はからだ全身をめぐり、こころとからだに動きをあたえるエネルギーです。「気」が滞ることで、人は病気になるのですが、「気」を乱し、滞らせる原因として、内欲をつつしまないこと外邪をおそれないことを挙げています。

 からだのエネルギーを滞らせることが病気の原因であり、エネルギーを流し、活性させることが健康レベルを上げることにつながるというヒーリング・タッチの考え方と共通するものです。

 『養生訓』では、各論において養生の方法について細かく述べられていますが、3000年以上もの歴史があるアーユルヴェーダの考え方、方法にとても類似しています。また、医者の心得として、儒学を始め、古くから伝えられている医学を学ぶべきであると述べています。科学、医学、技術と日進月歩ですが、数百年、数千年にわたって伝承されている知恵を新しい知識より劣っているとみなしてはいけないことも養生訓から教えられます。

 COVID-19感染問題に飜弄されている現代において、この本はとても示唆に富んでいます。病気は治療より予防が重要です。日頃から養生することで、たとえ細菌やウィルスが侵入しても打ち勝つことができます。病気を予防し、健康レベルを高めていくことが大切です。

 

HTSJ会員有効期限延長とZOOMセミナー特別提供

 昨年度は、5月の連休にヒーリングタッチ・ベーシックとアドバンスIの連続コースワークや、提供2年目となるバイオフィールドタッチケア、国際イベントへの体験ブース出展など、様々な活動を計画しておりましたが、残念ながら、対面でのワークやイベントは全て開催中止といたしました。2020年度に更新をしてくださった会員の皆様も大勢いらっしゃいましたし、ワークにお申込みの際に、新たにご入会いただいた方もいらっしゃいましたが、会員特典を十分にご利用いただけない一年になってしまいました。

 既にご連絡をさせていただきました通り、HTSJ理事会では、2020年度に入会、もしくは、会員更新をされた会員の皆様には、無条件で会員有効期限を2021年12月31日まで延長させていただくことにいたしました。また、限定的ではございましたが、ZOOMによるペンデュラム入門講座は、会員の皆様には無料とし、また、ホリスティックヘルス塾基礎講座もテキスト代を差し引いた受講費にてご提供させていただきました。

 今後のウイルス感染の状況は、今だわからないですが、一年近いコロナ禍を経て、安全対策の知識も蓄積されてきました。今年度は、状況を鑑みながらではありますが、十分な安全対策を行った上、ワークやイベントなど提供していきたいと思います。

 今こそ、セルフケア、タッチケアを適切に活用すべき時であると認識しています。皆さまが健やかに、穏やかに過ごすために、少しでもお役に立てるよう、活動していきます。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。
 
 HTSJ事務局

 

お知らせ

HTSJ 2021 スケジュール

1月16日 リアル練習会(東京)
1月30日  ZOOM練習会
2月20日 リアル練習会(東京)
2月23日 HTSJ2019通常総会
2月27日 ZOOM練習会
3月13日  リアル練習会(東京)
3月20-21日 ルミナス主催ヒーリングタッチ・ベーシック(千葉)
3月27日 ZOOM練習会
4月3日 リアル練習会(東京)
4月17-18日 ルミナス主催ヒーリングタッチ・アドバンスI(千葉)
4月24日 ZOOM練習会

ボランティアスタッフ募集

HTSJでは、ボランティアスタッフを募集しています。作業時間や内容は、ご希望やスキルに応じます。作業分野としては、①各種講座運営、②企画、③広報・宣伝、④経理・財務、などです。ご応募、ご質問は、お問い合わせフォームまでご連絡ください。

☆会員の皆様からの寄稿をお待ちしております。

ヒーリングタッチの実践、応用、練習会の体験など、是非、お寄せください。
ご投稿、ご連絡、お問合せ先:お問い合わせフォーム

 

Healing Presence  –HTSJ会報誌- 年4回発行

編集チーム 戸田美紀、鈴木幸子、大木恵美子  伊東和香子


ページトップへ戻る