ニュースレター

ヒーリングプレゼンス vol.24 2023年10月(公開)

2023年10月17日

自己成長への歩み

ヒーリングタッチの学びのカリキュラムの中で最も重きを置いているテーマのひとつに「自己成長」または「自己開発」があります。ヒーリングタッチは自身のからだを使って、大地と源のエネルギーを流していきますが、そのエネルギーが流れる媒体(からだ)において、エネルギーの滞りがより少ない方がエネルギーがよりよく流れていき、より良いエネルギーワークを行うことができます。自身を詰まりの少ないパイプにしていくには、自身を振り返り、自身に気づき、自身を癒していく必要があります。そのプロセスこそが、自己成長または自己開発なのです。『光の手』、『癒しの光』、『コアライトヒーリング』の著者であるバーバラ・アン・ブレナンは、自己の癒しには自己変容を伴うと書いています。よりよくヒーリングタッチを行うには、また、よりよいヒーリングの担い手になるためには、自己を変容させるほどの自身の癒しや気づきの歩みを進めていくことになります。ヒーリングタッチの学びは、自身を癒す旅路、ヒーリング・ジャーニーである、とお伝えしていますが、その理由がここにあります。

 この歩みには決まった方法があるわけではありません。ヒーリングタッチを学んだ方であれば、セルフケアを意識的に行っているのではないかと思います。セルフケアは、この歩みの第一歩です。本を読んだり、セミナーに参加したり、様々なセラピーやカウンセリングやスピリチュアルな教えや経験を通じて、自身を見つめ、これまであまり意識してこなかった自分と向き合ったり、思ってもいなかった自身の感情や側面に出会ったりすることも、この歩みの一部です。本号で紹介する、「性格構造」を知ることも皆さんのヒーリング・ジャーニーのひとつのツールとして有用でしょう。

コアエナジェティクスと性格構造

昨年より、HTSJのZOOM勉強会では、ジョン・ピエラコス著『コアエナジェティクス』を学んでいます。ピエラコスはヒトの「コア」と体内のエネルギーの流れやその効果について独特な考え方を提起しており、その概念を踏まえて、師匠であり、フロイトの弟子であった精神科医ヴィルヘルム・ライヒが提唱した5つの性格をエネルギー的に解釈しています。そして、それは、ピエラコスから学んだバーバラ・アン・ブレナンの「性格構造によるオーラのパターン」に継承されています。この性格構造について、『コアエナジェティクス』における説明をブレナンの解釈と図で補いながらご紹介します。

ライヒの性格分析
 5つの性格構造は、ライヒの著書『性格分析―その技法と理論』に紹介されています。ライヒは臨床経験を通じて、似たような幼少期や親子関係を持つひとは、同じような体型を持ち、似たような基本的な心理的特性を持っていることを発見しました。これは、幼少の頃からの両親や社会との関係性から形成される自我の防御に起因します。防御のために性格の「鎧」を身に着け、その過程で生じる抵抗や恐怖などで、筋肉も硬直し、それが「筋肉の鎧」となり、体型や行動にも影響を及ぼすのです。性格は、防衛パターンが性格となって表れているというのがライヒの考えです。

コアエナジェティクスにおける否認・防御のパターン
 コアエナジェティクスを開発したジョン・ピエラコスは、その著書『Core Energetics』で、5つの性格構造を否認のパターンと表現しています。防御のパターンと解釈しても問題ないでしょう。ピエラコスは、自身が提唱する「コア」の概念に基づき、個々の持つ普遍的な生命力のエネルギーの流れは、幼少の頃からの成長過程において否定されることによって、阻害され、歪み、遅くなり、ブロックのように固まってしまうとしています。このようなエネルギーの流れの阻害こそが、人間の機能不全の根底にある共通の原因であると言います。そして、より直接的な、または引き金となる原因が、各人の性格を形成します。なぜなら、人間は痛み、不安、苦しみに対して、ライヒの言う「筋肉の鎧」やピエラコスが強調する性格的な「仮面」を形成し、同じような防御の仕方をするからです。

コアエナジェティクスで説明されている性格構造は、ライヒの性格分析を継承した、口唇期性、マゾヒスト、スキツォイド、攻撃型、硬直型の5つです。しかし、ピエラコスは、防御パターン自体がその人を定義するのではないことを繰り返し強調しています。人を定義するのはあくまでもコアです。患者やクライアントを決して性格のタイプや構造、その他のレッテルで捉えてはなりません。彼らは、うまく機能できなくなっているだけで、その魂には先天的な輝きと美しさがあり、セラピーはそれを解放するために行われるものである、とピエラコスは言います。以下に紹介する各性格構造またはエネルギー的防御のパターンは、一般的な概要に過ぎず、コアの独自性により、各人に大きな違いが見られことを留意する必要があるとのことです。

口唇期性の特徴
 口唇期性の人は、幼児期で発達が留まってしまい、十分な感情が形成されません。育児放棄や幼少期に死・病気・離婚などにより母親を失う経験やその気がないのに与えているそぶりをするなどの不十分な愛情に起因すると説明しています。そのため、幼少期より、感受性は混乱し、自分が本当に必要とするものを求めることを恐れており、また、心の底で、それが与えられないことを確信しています。その喪失感を早い段階で話す、歩くなど「自立」することで補いますが、その後、意地悪な受容性、貪欲な攻撃性を持つようになります。

 自我は一般に弱く、外側の世界に生を求め、それが得られないことを外部のせいにし、空虚や虚しさを持ち、責任を取りたがらない傾向があります。仮面をかぶった自己は、「私によこせ、他者は私に借りがある」というメッセージを送っています。失望により、苦しみ、諦め、厳しさが生み出され、一方、要求が満たされた時は、現実を越えて高揚します。口唇期性の主要な歪みは、私は他者より優れている、他の人に勝たなければならない、というようなプライドによるものです。その人の行動はすべて他人と比較されます。この競争心が、他者との距離をつくることにつながっています。また、歪められた愛の感情は、「私のためにやって」という態度を正当化する極端なニーズと混ざり合っています。プライドは他者への押し付けを行い、恐怖は自己保存の本能を、そのエネルギーやコアからの生命力に対して、防御する状態へと変形させます。

 口唇期性の特徴は、全身的にエネルギーが枯渇している結果、コアのエネルギーは弱々しく放射され、センターの多くが開いておらず、エネルギーフィールドの脈動も不十分です。憎悪と憤怒の感情は、前頭部と頭頂部の周辺を除く、全身のオーラを抑圧する恐怖を構成します。コアからの生命エネルギーに対して開かれてはいますが、周辺部との統合は限定的で、エネルギーを結集したり、リズミカルな流れを維持したりすることはできません。後頭部、喉や首の後ろ、特に肩にブロックが生じますが、特に肩は通常、深い不安の表情で引き上がっています。

マゾヒスト(被虐型)の特徴
 マゾヒストは、幼少期、被虐的な人格から条件付きの愛を受けたり、支配的な母親からしいたげられた経験を持ちます。例えば、母親が子どもに食べ物を押し付け、抱擁やキスを要求したり、子どもの自律性に干渉した可能性があります。抵抗は全て打ち砕かれ、自己主張や自由な表現に罪悪感を感じるようになります。自分の感情と創造性を抑制することで対処しますが、それが怒りと憎しみを招いています。その結果、コアからの生命エネルギーが虐待され、侵害されたと感じ、大人になるにつれ、筋肉と脂肪の厚い蓄積として「見える」壁を作ります。マゾヒストは、外界に対して、罠にはめられ、打ち負かされ、辱められたと感じています。「人を支配していれば、私は安全だ。私が他者を倒す。そうでなければ、他者が私を倒すのだろうから」と、「仮面」をかぶった自己は感じています。コアからの生命エネルギーの強い高まりは破滅的な脅威として認識され、「仮面」を拡大させ、内なる自己(生命エネルギー)は強すぎて、接触したくないと感じています。

 マゾヒストのエネルギーフィールドは、外側の層が過充電され、コアからの流れを押しつぶしています。主要なエネルギーは内面化されており、活動的でないのに内面で沸騰していいます。この過充電のために、自我は常にスペースを作ろうと、自分の防御から感じる閉塞感を取り除こうと必死になります。主な表現は、ためらいと恐怖であり、動くことを拒否しています。フィールドは限界まで膨らんでいます。恐怖が自己保存の本能を置き去りにし、不特定の心配と不安の状況を形成します。外側の意志の強さは、恐怖という顕著な感情を伴い、頑固さや抵抗、腹立たしさや反抗という形をとります。表面的には謙虚で控えめな態度が、隠れた優越感と他者への否定的な態度の上に重なっています。

 マゾヒストの鎧には、胴体上部と太ももに巨大なブロックがあります。肩や背中に溜まったエネルギーは、本来身体の前面から起こる動きを阻害し、特に喉センターを損傷します。マゾヒストのエネルギーフィールドは1分間に30回以上の脈動があります。この過剰な脈動は、フィールドの動きを根本的に歪め、体幹を通るエネルギーの自由な流れを妨げる帯状のブロックを作り出します。臀部や鼠径部も胸部と同じように激しく拘束され、膝やふくらはぎのあたりにも大きな衝撃が加わります。エネルギーを取り入れる役割があるセンターの多くは枯渇しています。喉センターも閉じており、活発であるはずのハートセンターは拡大できず閉ざされています。頭上のフィールドは、ひどく萎んだクラウンセンターによって抑えられています。眉間のセンターは開いていますが、それは、外部の現実をバランスよく評価するには十分なものではありません。太陽神経叢のセンターはかなり発達しており、この能力を目覚めさせることは可能です。

スキツォイド(分裂質)の特徴
 スキツォイドの構造は、一般には、子供の自発的な表現に対する外部からの様々な意味不明な敵対的な反応により、子供が早期にまた大規模に方向性を喪失した状態において形成されます。その結果、大人になってからの人格は不安定な複合体となり、まるでひびの入った鏡のように、いつでも自身の別の断片を外界に向けるようになります。自我の集合体の境界は脆く、人生のストレスで簡単に崩れてしまいます。人格が機能的に統合されていないため、集中することができず、その結果、あらゆる面で不一致と不連続が生じてきます。その亀裂は仮面の表面にも及び、その変幻自在な特徴に次々としがみついて、ある種のバランスのとれた仮面を維持しようとエネルギーを消費していきます。内側に向かい、躍動するコアからエネルギーを引き出すことはできるのですが、統合することができず、周辺部に形成される主な防御感情は怯えです。このことは、さまざまな仮面の自己に、パラノイアのレベルの極度の不信感をもたらします。スキツォイドにおけるプライドは、しばしば恐怖と同じくらい強烈であり、全身的な無秩序さのために、支配的な態度で表現されます。自己の意志は、さまざまな周辺自己によって揺れ動き、全体的なまとまりはありません。

 スキツォイドの人のエネルギーの閉塞は、過去の経験から培われたザクロの中の別々の区画であるかのように、グループ化されているように見えます。特に体幹と四肢の関節に多くの中断があり、周囲を乱しています。首の後ろには深刻なブロックがあります。しかし、眉間のセンターが開いていると、それは目覚しい発展を遂げ、その人に輝かしい洞察力と直観力を与えます。したがって、スキツォイドはよく開いたクラウンセンターを示すことがあります。もし眉間のセンターが損傷していれば、そのチャクラの花弁は非対称になりますが、スキツォイドの太陽神経叢センターは少なくともかなり活発に機能しているので、かなりの生命力を示します。しかし、喉センターはしばしば逆さになり、ハートセンターと仙骨センターは大きく減退しています。残りの背面のチャクラも通常枯渇しているので、統合された自己主張の表現に欠けることになります。

攻撃型(精神病型)の特徴
攻撃型の構造は、父親が娘を歓迎したり拒絶したりするような、誘惑的な操作や親しい大人の行動の矛盾を幼少期に経験したことが引き金になっています。このような衝突は、生殖器領域の動きを妨げ、腰から上の胴体や頭など上方へのエネルギーの流れの障害となっています。自我と理性的な思考が優位に立ち、特に性的な機能が奪われますが、一般的にすべての感情、内なる自己の感情、他人の感情が奪われます。周辺的な自己は膨張し、過剰に制御され、仮面は権力を求めます。「私が私のやり方で、正しいことを証明する。自分が正しいと言うこと以外は信じない。」ここで明らかに支配的な歪みは自己意志であり、頑固さ、復讐心、矛盾で表現されますが、防御というより攻撃という形で表現されます。また、エゴは、変化に対して身構えていますが、さらに、動きに対して攻撃します。したがって、「今のままでいい」の後に、「邪魔をしたら壊してやる 」となります。しかし、このタイプの人は、豊かなエネルギー、実行力、革新性と創造性の素晴らしい才能に恵まれた強力なコアを持っています。

 エネルギーフィールドは、上半身と下半身の非同期の脈動を伴いアンバランスです。正中線より下の脈拍は1分間に15回よりかなり少ないかもしれませんが、上半身は1分間に15から25回以上脈動します。人格の攻撃的な表現が体の背面から推進され、途方もなく誇張され、骨盤と腰は固く収縮して受動的になります。このタイプの人は、体全体を通して、受容することが難しくなります。最も深刻なブロックは、下半身、鼠径部と腸、臀部です。肩も同様に装甲され、筋肉組織は大きな緊張を保持しています。保持パターンはまた、肘や太ももの周りにブロックを形成することがあります。

 攻撃型の性格の持ち主は、生殖器の動きを否定するので、仙骨センターもうまく機能しません。上半身と頭部における過剰な攻撃性は、体幹下部における自己主張の欠如とはっきりとしたコントラストをなしています。ハートセンターも、喉センターと同じように、かなり閉じています。太陽神経叢センターも、ほとんど、あるいはまったく強さを持ちません。逆に意志のセンター(背部)が発達しています。眉間のセンターも同様に活発になります。攻撃型の構造では、クラウンセンターはほとんど潰れたままです。この異常は、おそらくエネルギーを取り込めないことによる全身的な機能不全が原因です。

硬直型の特徴
 最も不統一の少ない硬直型のタイプは、時として、内なるエネルギーの完全な運動に対して最も抵抗します。そのコアは他の性格で見られるような枯渇に見舞われておらず、通常は強く脈打ち、しばしば1分間に30回以上の脈動があります。したがって、一般には、身体全体のエネルギーは調和とバランスのとれた動きをしています。この動きが、卓越した実行力と高い実行力を生み出す素地となります。しかし、全体的な統合がうまくいっているために、コアから生じる柔らかい感情が犠牲になっています。権威を扱い、仕事をこなし、よそよそしい交流を巧みに扱うことができますが、ハートが開いていないので、全人的な関係は持てません。

 この性格形成における防御のパターンは、受容的することを否定します。周辺的な自己は、成功を重視します。そのため、極端なプライドと自己中心的な考え方が仮面の表情を形成しています。「私は他の人より優れている。引き受けたことは何でもできる。」 エゴは一騎打ちを得意とし、弱者への恐怖を反映します。「私はあなたの一歩先を行く、あなたに道を譲らせる。」この人の特徴は、あからさまな敵意というよりは、自己愛的な他人無視であり、孤立の態度や、自己の利益は必然的に他者の利益に相反するという信念を伴っています。活動の動機は、手を伸ばして素早く取ることですが、解放したり費やしたりすることではありません。そして、受け取ることの潜在性が否定されているため、与える可能性は満たされないままです。そのため、このタイプの人は意味のない空虚さ、不十分さ、乾きを感じます。しかし、仮面は、空虚感を否定し、こう主張します。「私はそれらすべてを持っている。」

 硬直型の人のエネルギーフィールドは、活発に動いています。体から数フィート、部屋の中で安静にしている健康な人のオーラよりもはるかに遠くまで達し、頭の上のコロナは通常90㎝ほど放射しています。ブロックの具体的な位置は、ブロックの形成に関わるプロセスによって決まります。一部の硬直型の人は肩に装甲を持ち、フィールドが後方を指すくさび形を示すようになります。オーラはまた、背中の一部分で乱れることがあり、しばしば鼠径部や大腿部で著しく凝縮されます。

 エネルギーの受容への抵抗のために、喉とハートのセンターは一般に損傷し、皮膚に面するように反転しています。太陽神経叢のセンターは開いているかもしれませんが、部分的に閉じている場合は、非対称になっています。仙骨センターはかなりの強さを持っていますが、自由度に制限があります。意志のセンター(背部)は正常であるように見えます。後頭部センターは例外的に発達しています。クラウンセンターはいくらか鈍化しているか、拡張しているかもしれません。この重要なクラウンセンターの発達の程度は、生体がコアに直接つながる道であるため、病気の強さを反映しています。

 以上、5つの否認のパターンが形成する性格構造の概要をご紹介しました。ピエラコスの『Core Energetics』は和訳されていませんが、ブレナンの『光の手』に説明されており、また、各性格構造のエネルギー的な状態が詳細に記載されています。是非、ご参考ください。

いま、スピリチュアルケア講座を振り返って

伊東 和香子 臨床スピリチュアルケア師、HTSJ理事

 HTSJでは、これまでに西平直先生、窪寺俊之先生、川嶋朗先生と3回のスピリチュアルケア講座を開催し、鎌田東二先生、郷堀ヨゼフ先生の講座を待つところとなっております。以前のニュースレターでは、HTSJでスピリチュアルケアを学ぶことの意義と認定資格についてお話しさせていただきましたが、今回は本講座の運営側のお話しをさせていただきたいと思います。

 「スピリチュアルケア」とはなにかということですが、未だ、はっきりしない方も多いと思います。スピリチュアルケアの学びとは、正にそういうことなのだと思います。言葉にしにくい領域の学びとは、はっきりしないことを自分なりに心の内に育てていき、またそれを自覚できる感覚さえも育てるものだと思っております。専門を持つ講師の先生から、各方面のお話しを聞いていく中で、自分の思うところのスピリチュアルケアが構築されていきます。ですから、個々人が各々の観点で、それぞれのスピリチュアルケアの概念が積み上がっていくので、はっきりとした基準はないのです。それでも、学びを続けるうちに、共通の認識や感覚が生まれてきます。それは、ヒーリングタッチと同じだと思うのです。

 私は、NPO法人日本スピリチュアルケアワーカー協会の養成講座で学び、社団法人スピリチュアルケア学会の臨床スピリチュアルケア師の認定を受けています。このHTSJのスピリチュアルケア講座の講師をお願いするにあたっては、私の学んだ養成講座からだけではなく、スピリチュアルと心と身体が相互に影響し合うことを領域としている学会やセミナーなどに参加してきた中から、是非、皆さんにも聴いていただきたいと思う先生方を選んでいます。

 スピリチュアルケアの認定カリキュラムには、ボランティアなどによる臨床実習による事例研究が組み込まれているのも、経験することによって得られる見識と感覚が求められているからです。これは、ヒーリングタッチの施術のシーンが、まったく当てはまると思います。「目に見えない部分を感じ、相手にとって良い状態になるように想い、その傍らにいる」ということが、まさにスピリチュアルペインをケアしていることですから。また、スピリチュアルケアでは、宗教を学ばなくてはなりません。目に見えない領域は、個人的な部分と神仏や大いなる存在(サムシング・グレート)との切り離せない、或いは同一であるという認識の上に成り立ち、各々の感覚が教えてくれています。ここは、今月の講座で、鎌田東二先生に教えていただきます。

 第一回の西平直先生は、スピリチュアルケアを真正面から説くのではなく、先生独自の観点から教えていただきました。能・世阿弥の「離見の見」という視点から、「無私」という哲学的な視点からなど、スピリチュアルケアを説いてくださいます。養成講座の講義後に、喫茶店で何時間もお話ししてくださったり、気さくで優しいお方です。HTSJの講座では、「スピリチュアル-4つの理解」として説いていただき、参加者からそもそもの「スピリチュアル」の理解が深まったとの声をいただきました。

 第二回の窪寺俊之先生は、私が最初に「スピリチュアルケア」を教えていただいた先生です。スピリチュアルケアを実践されていて、その経験から説いてくださる日本の第一人者です。決して外すことができない先生で、概論、入門、実践と今後も学ばせていただきたいです。学会の懇親会で名刺交換をさせていただいた折に、先生のご出身地が私の地元だとわかり、地元話に花が咲きました。時期的に私とすれ違うことは無くても、父とはすれ違っていたかも知れないと思うと親しみが増すような気がいたします。

 第三回の川嶋朗先生は、日本統合医療学会と日本ホリスティック医学協会の合同学術大会にて、初めてご本人をお見掛けすることができました。その時、日本統合医療学会の会長である川嶋先生が、閉会挨拶で会長を降りると宣言して物議をかもしたのです。少々激しくはありましたが、人前でご自分の主義主張を忖度なく発言されたことが、個人的にさらに好感を持ったのでした。先生は、スピリチュアルケアに特化した講義や著書はありませんでしたが、ホリスティック医学の実践と豊富な知識をお持ちで、スピリチュアルケアの臨床現場で必要なことを教えてくださるだろうと考え、講義をお願いいたしました。先生の患者さんの意志を尊重した統合医療の実践こそ、スピリチュアルケアそのものだ、という感想をいただきました。

 第四回の鎌田東二先生は、スピリチュアルケアワーカー協会の養成講座で、「神道からのスピリチュアルケア」を受けました。緑一色のコーディネートがトレードマークです(最近ではあまりお見かけしなくなりましたが)。ネクタイから履物まで緑一色での登場だけでもインパクトがあるのに、ほら貝と石笛を吹かれては、目を丸くしてしまいました。やっと座学に慣れてきた頃でしたので驚きましたが、スピリチュアル領域の学びとして、これもありなのだと見識が広がりました。神職の資格もお持ちの先生からは、スピリチュアルケアを学ぶ中で、なぜ宗教を学ばなければならないかを説いてくださるようお願いいたしました。神道は、キリスト教や仏教と違って宗教ではなく、さまざまな神を持つ日本人が祀り尊ぶ信仰です。人智及ばぬ存在に畏敬の念を起こすことに変わりはないけれど、宗教から少し離れた、特異な立場からのお話しが聞けると考えました。

 第五回の郷堀ヨゼフ先生は、仏教看護・ビハーラ学会の年次大会に参加して、初めて存じあげたチェコスロバキア(現・チェコ共和国)出身の先生です。ホスピスや緩和ケアは耳馴れてきましたが、ビハーラはあまり聞いたことがないのではないでしょうか。ビハーラの語源は、古代インドのサンスクリット語で「精舎、僧院、寺院」あるいは「心身の安らぎ・くつろぎ」「休息の場所」を意味しています。仏教系の独自性を出したことに特徴があり、ビハーラ病棟=緩和ケア病棟です。郷堀先生の講義は直接受けたことは無いのですが、学会でのご活躍などから、是非お話しを伺いたいと思ったのです。先生のご経歴も大変興味深いのですが、この度は、 「仏教看護、スピリチュアルケア、宗教」をキーワードに講義をお願いしております。

 スピリチュアルケアとヒーリングタッチを合わせたら、慈悲に溢れ、慈愛に満ちた世界が広がるだろうと考えたところから、講座企画が始まりました。スピリチュアルケアに興味の無い方々にも、この講座を日々の癒しや、見識を深めるヒントにご利用頂けましたら幸いです。

お知らせ

HTSJ 2023 スケジュール

10月21日 ZOOM勉強会
10月22日 リアル練習会(東京)
10月29日 HTSJスピリチュアルケア講座第4回
11月25日 ZOOM勉強会
11月26日 リアル練習会(東京)
12月16日 ZOOM勉強会
12月17日 リアル練習会(東京)

HTSJ 2024 スケジュール

1月13日 ZOOM勉強会
1月14日 リアル練習会(東京)予定
1月21日 HTSJスピリチュアルケア講座第5回
1月27日-28日 ヒーリングタッチ・ベーシック
2月17日 ZOOM勉強会
2月18日 リアル練習会(東京)予定
2月23日 HTSJ通常総会

 

ボランティアスタッフ募集
HTSJでは、ボランティアスタッフを募集しています。作業時間や内容は、ご希望やスキルに応じます。作業分野としては、①各種講座運営、②企画、③広報・宣伝、④経理・財務、などです。
ご応募、ご質問は、お問い合わせフォーム までご連絡ください。

☆皆様からの寄稿をお待ちしております。
ヒーリングタッチの実践、応用、練習会の体験など、是非、お寄せください。
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Healing Presence –HTSJ会報誌- 年4回発行  

編集:鈴木幸子、伊東和香子、戸田美紀


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